花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
麻美への想い
「…平気か、哲」


黙ってる俺に、夏樹が真面目な言い方でそう言うから俺は慌てて明るい声を出した。


「ごめん、大丈夫」

「はあ。大丈夫じゃねえだろ」

「………」


だけど、夏樹にはバレバレみたいだ。


「わかった、仕事終わったら家に行くから待ってろ」

「え!?」

「んじゃ、仕事戻る」

「え!」


俺が何か言うより先に夏樹が強制的に通話を終了させる。
あんぐり口を開けたまま、俺は暫く携帯を耳につけたまま動けなかった。


…おお、まじか。


え、夏樹が来る?今日?
混乱してる俺。
落ち着け、俺。


えっと、来るなら家にいた方がいいか。


のそっと立ち上がると、俺は傘を拾った。
あー、後でこの洋服クリーニング出さないとなあ。


そんな事を考えながら、俺は自宅へと向かう。


夏樹のお陰で、少し気持ちが明るくなった。
拓の事考えると、苦しくなったけど。


このまま、一生話せないままとか…ないよな。
菜々美ちゃんとの結婚式とか、俺呼ばれないのかな。
…それ、嫌だな。
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