花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
数時間、暇を持て余すと玄関からガチャガチャと音がする。
きっと、夏樹。
「哲ー入るぞー」
「うぃー」
案の定、その人は夏樹。
部屋の鍵をまだ持ってる夏樹は、勝手に開けると勝手に上がり込む。
俺も気にしてない。
座ったまま、顔を夏樹に向けると夏樹は苦笑する。
「元気か」
「ぼちぼち」
「だよな、飲むか」
「うん」
スーパーの袋を持った夏樹はそれをテーブルに置くと、中から缶ビール二本を取り出す。
残りは冷蔵庫詰めとけよ、と目で合図される。
俺は残りを持って、冷蔵庫へと向かった。
「つまみ適当に買って来たぞ」
「柿ピーある?」
「当たり前じゃん」
「さすが」
早々に冷蔵庫に仕舞い込むと俺はさっきいた場所へと戻る。
既に片手にビールを持った夏樹に倣う様に俺も手にした。
「カンパーイ」
「乾杯」
俺と夏樹共に、一気に飲み干す。
コトンと机にどちらともなく置いてから
「喧嘩したのか?」
夏樹がそう切り出した。