花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「…喧嘩、っていうか」
あれを喧嘩と言っていいのだろうか。
一方的に拓を怒らせたに近い。
「ゆっくり話せよ。時間はあるだろ」
「…うん」
そう言うと、夏樹はおつまみの袋を開けた。
「何だろうね。俺、麻美と出会うべきじゃなかったのかなって思うんだ」
「…どうして?」
「俺が麻美と出会った所為で、色々おかしな事になってる」
「だから、どうしてだよ」
「…俺、まだ麻美の事大好きなんだ」
「知ってるよ」
「他の女とか、どうでもいいの」
「知ってる」
「それで拓を怒らせた」
「…それがわからねえ」
「どうして?」
俺がそう尋ねると、夏樹は腕組みをしてうーんと唸る。