花蓮~麻美が遺した世界~【完結】


「多分、俺が哲の立場でも好きだったと思うよ」

「………」

「俺がどんだけあかり一筋だったかは…哲が一番知ってるだろ?」

「うん」


夏樹は見た目カッコいいのに、数年もの間…あかりちゃん以外興味なくて。


本当に勿体ないと思っていたから。

いい女なんて、たくさんいると思ってたのに。


本当に心に決めた女ってのは、一人だけなんだよな。



「だから、俺は哲の葛藤も、拓斗の葛藤もわかる。
…今すぐはきっと、拓斗が整理つかないだけだよ。
大丈夫、必ず戻れる」

「そうかな、夏樹」

「うん、大丈夫」

「……ありがと」

「おう」


少し、目に涙が滲んだのを隠す為に俺は上を向く。


夏樹は気付いていると思うが、何も言わなかった。


暫く、拓に連絡するのよそう。
いつまでかはわからないけど…暫く。


結局深夜まで俺と夏樹は飲み明かして、ほぼ徹夜のままお互い仕事へと向かった。
< 131 / 231 >

この作品をシェア

pagetop