花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「多分、俺が哲の立場でも好きだったと思うよ」
「………」
「俺がどんだけあかり一筋だったかは…哲が一番知ってるだろ?」
「うん」
夏樹は見た目カッコいいのに、数年もの間…あかりちゃん以外興味なくて。
本当に勿体ないと思っていたから。
いい女なんて、たくさんいると思ってたのに。
本当に心に決めた女ってのは、一人だけなんだよな。
「だから、俺は哲の葛藤も、拓斗の葛藤もわかる。
…今すぐはきっと、拓斗が整理つかないだけだよ。
大丈夫、必ず戻れる」
「そうかな、夏樹」
「うん、大丈夫」
「……ありがと」
「おう」
少し、目に涙が滲んだのを隠す為に俺は上を向く。
夏樹は気付いていると思うが、何も言わなかった。
暫く、拓に連絡するのよそう。
いつまでかはわからないけど…暫く。
結局深夜まで俺と夏樹は飲み明かして、ほぼ徹夜のままお互い仕事へと向かった。