花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「麻美はね、自分の事よりも他人に一生懸命になれる子だったの。
強そうに見えたけど、本当はとっても弱かった。
守りたいって心から思えたんだ」
「……」
ふとした瞬間の切なそうな顔とか。
仲間を守る為なら、何でもするトコロとか。
男から見てもカッコよくて…。
麻美のいいトコロなんて、たくさん出てくる。
あんなに短い期間だったのに。
ふっと、恋滋を見ると口をぽけーっと開けたまま俺の事を見ている。
「…何か、俺変な事言った?」
ハッとしながら、恋滋は
「いや、何か、初めてそんな顔見たと思って驚いた」
そう言いながら恋滋はぽりぽりと頬を掻いた。
「…麻美って余程だったんだな」
「うん」
「ごめんな、無理に紹介しようとして」
「いや、謝るなって」
「…そろそろ仕事戻るか」
「だな」
あ~暇だ、なんて言いながら恋滋は腕を伸ばしている。
俺はそれにくくっと笑いながら、レジ裏へと戻ろうとした。