花蓮~麻美が遺した世界~【完結】

「なるほどねー。店長の女の理想高くなってるんだって事がわかりました」

「は」

「だって、麻美さんってキレーじゃないっすか」

「あんな、お前は…」

「けけけ」


俺をいじる材料が出来たとでも思ってるのだろうか。
嬉しそうに笑うキム。


「顔じゃなくて麻美は中身がいいの」

「中身もいいんすか?だから、店長他の女と付き合えないんですよ」

「……」


まあ、ごもっともっちゃあごもっともな意見だ。
麻美以上を探すとしたら…一生かかっても無理な気がする。


「店長、独身まっしぐらっすかね」

「……それは嫌だな」

「でしょー?だから、少し視野広げてみればいいじゃないんですかね?」

「視野、か」


それが出来たら…、そう何度も思ったから。
何もキムには言わなかった。

その所為で拓とも喧嘩したんだ。

俺が麻美以外を好きになれない所為で。


「あの子はダメなんすか?」

「あの子?」

「ほら、すっごい可愛かった子」

「……誰?」


わからなくて首を捻ると、キムはえっと~と間延びした言い方して話す。
< 140 / 231 >

この作品をシェア

pagetop