花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「なるほどねー。店長の女の理想高くなってるんだって事がわかりました」
「は」
「だって、麻美さんってキレーじゃないっすか」
「あんな、お前は…」
「けけけ」
俺をいじる材料が出来たとでも思ってるのだろうか。
嬉しそうに笑うキム。
「顔じゃなくて麻美は中身がいいの」
「中身もいいんすか?だから、店長他の女と付き合えないんですよ」
「……」
まあ、ごもっともっちゃあごもっともな意見だ。
麻美以上を探すとしたら…一生かかっても無理な気がする。
「店長、独身まっしぐらっすかね」
「……それは嫌だな」
「でしょー?だから、少し視野広げてみればいいじゃないんですかね?」
「視野、か」
それが出来たら…、そう何度も思ったから。
何もキムには言わなかった。
その所為で拓とも喧嘩したんだ。
俺が麻美以外を好きになれない所為で。
「あの子はダメなんすか?」
「あの子?」
「ほら、すっごい可愛かった子」
「……誰?」
わからなくて首を捻ると、キムはえっと~と間延びした言い方して話す。