花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「あれっす、あの店長を待ってた子!」
「……侑美ちゃんか」
あれから一度も連絡がない。
そりゃそうだと思うけども。
「名前侑美って言うんすか。
あの子、可愛いし、スタイルいいし、いいじゃないですか」
「侑美ちゃんはダメ」
「何で!どうして!」
「ん~、見た目ってよりも、うん、中身」
「……店長…、そりゃ彼女出来ませんよ」
「………」
ぽんぽんと肩を叩かれながら、俺はキムに思いっきり憐れむような顔をされた。
そんな顔するな。
俺は別に彼女が欲しいんじゃないんだから。
麻美以外の好きな女が欲しいだけなんだから。
「はい、雑談ここまで。仕事仕事」
「ええ~暇なんだから、いいじゃないですか」
「ダメダメ、俺はやる事たくさんあるの」
まだ渋るキムを置いて、俺は裏方へとスタスタ入って行く。
ふうっと息をつくと、俺は机に置いてある在庫表を手に取った。
仕事仕事。
無理矢理気分を切り替えると、俺は仕事を開始する。
あっという間に時間は経って、いつの間にか雅紀が来ていた。