花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「まあ、それを止めたのが朱美ですよ」

「あ、朱美ちゃん?」

「はい、出したナイフをがっちり握り締めてました」

「………」


それを想像して、思わず顔が歪む。
痛かっただろう、だけど、朱美ちゃんは間違った方向へ進みそうになった麻美を止めたかったんだ。


「花蓮も花蓮でいいチームだったって認める事が出来たのは…最後の走りの時ですかね」

「引退の時の?」

「そうです、あん時、麻美が光も一緒に走っていいって言ってくれたんですよ」

「…そうだったんだ」

「あの後は何だかんだ、やっぱりお互いいがみ合っちゃってたけど、あの時だけは一体になれた気がしました。
私、あの夜だけは忘れられないんです」

「………」


最後の麻美の引退パレード。
集団で走ってるのに、すぐに麻美がどこにいるかわかった俺。

麻美の影響力って、半端ない。

それは敵だと思った相手までも巻き込んでしまう。
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