花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「本当に送らなくていい?」
「いいですいいです」
あれから、色々な事を話して居酒屋を出た後、俺が郁美ちゃんにそう尋ねた。
郁美ちゃんは笑顔で、断るとごちそー様でした!と言いながら、先に進んでいく。
「郁美ちゃん…、またね!」
そう声をかけると、郁美ちゃんは驚いた顔をしながらも笑顔を見せて思いっきり手を振ってきた。
それに答えると、俺も帰路につく。
今日は郁美ちゃんの話を聞けて、よかった。
前回、あんな別れ方をしたからもう二度と会話する事はないと思っていた。
だけど、こればっかりは郁美ちゃんに感謝だな。
……それはそうと。
“まあ、それを止めたのが朱美ですよ”
郁美ちゃんから、この話を聞いてから。
俺は朱美ちゃんに会いたくて仕方なくなっていた。