花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
郁美ちゃんが見えなくなると、すぐさま朱美ちゃんへと電話をかける。
暫くしてから、朱美ちゃんが出た。


「もっしもしー。どしたの、哲さん」

「…朱美ちゃん」

「何。何かしたの?」


通話口から聞こえる声に、ゆるゆると口角があがる。


「暇な日、教えて」

「えっ?」

「遊ぼ」

「ああ、うん。いいけど、急過ぎだわ」

「だよね。俺も思う」

「あはは、何それー意味不明」

「俺の暇な日は明後日なんだけど、どうかな」

「いいよ、へーき、私も暇だ」

「よかった。それじゃ明後日。昼過ぎ、迎えに行く」

「はいよ」


通話を終えてから、俺は携帯の画面を見つめた。
さっきの会話を思い出して、思わず微笑む。


明後日、楽しみだ。


バイクの止めてあるとこまで向かう俺の足取りは軽かったと、思う。
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