花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「俺は、別に…」

「一緒。男だろうが、女だろうが、関係ないだろ?」

「………」

「お互い、麻美を守った痕じゃん?」

「!!」


朱美ちゃんは眉を下げて、微かに笑う。


「だから、もう何も言わなくていいよ」

「……うん」


朱美ちゃんは俺の思ってもない言葉をかけてくる。


それにどうしようもなく胸が詰まるんだ。


「…ねえ。哲さん」

「ん」

「本当に麻美っていたのかな」

「…は」


そんな変な事を言う朱美ちゃんを俺は射抜く様に見つめる。


「何かさ。夢みたいなんだよ。
麻美って人間が。
確かに私の手に傷は残ってるし、いたのはわかってるのに。
なのに、麻美ってあまりにも突然いなくなっただろ?」

「………」

「天使かなんかじゃねえかって思ったりして」

「ぶは、天使って」

「あー笑ったな。哲さんにとったら天使、いや、女神様だろー」

「あはは、そうかも」

「な?だから、麻美は皆の心を捕えて離さないのかなって。
ねえ?そう思わない?」

「………朱美ちゃん」

「…あはは、私も少しおかしいな。
ねえ、哲さん!もしも麻美に会えたら何て言う?」

「えっ」


俯いた顔をバッと上げた朱美ちゃんは、そんな質問を俺に投げかけた。
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