花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「……何それ、嫌だあ」

「ちょ、ちょっと待て」

「え?」


朱美ちゃんが手を顔前に出して、俺の妄想を制止する。



「あんな、別に私が手伝ってんのはお酒作ったり、つまみ作ったりの裏方。
私は客のおっさんにだってこの口調だからね?
それに、恰好もTシャツにジーンズだから」

「ええ、そうなの?」

「そうだっつーの。誰が好きでニコニコ客のご機嫌取りするかっつーの」

「………」

「思った事は口に出しちゃうから、まず務まらねえけど」

「…俺への想いは黙ってたくせに」

「はあ!?あれは、つか、いきなりその話題出すな」


明らかに動揺する朱美ちゃんに俺の口角は上がる。


「からかったな、てめえ」


クスクス笑ってると、朱美ちゃんはこっちを睨んで凄んだ。
だけど、少しほっぺが赤くて俺はまた笑みがこぼれる。

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