花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
それから数日経った日の事だ。
朱美ちゃんが、飲みに行きたいと言う事で仕事帰り飲む約束をした。
俺は早々に仕事を切り上げると、キムに声をかける。
「キム、わり、先に行くな?」
「はいはーい、全然ですよ」
「よろしく、キムも程ほどにな。明日俺やるから」
「あはは、平気ですって。お疲れ様です」
「ん。お疲れ」
手を上げて笑顔を見せた後、俺はロッカーヘと向かった。
別に着替えなんて、大した事はない。
少しだけ更衣室にある鏡で身だしなみを整えると、俺は携帯を確認した。
朱美ちゃんからの連絡はあるかな。
受信メールは二通。
……郁美ちゃん?
【駅前で待ってます】
…待ってる?って。今?
~~~~~!!!
何で前日とか、とにかくもっと早く断らないんだろう、この子は。
強引過ぎる。
溜め息をつきながら、俺はもう一通を確認した。
【哲さ~ん。もう駅前到着するよ。
従業員用の駐輪場でいいんだっけ?】
……朱美ちゃんももういるのか。
鉢合わせ、しません様に。
そう、願いながら俺は急いで外へと向かった。