花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
“男なんていらねえ”
“花蓮がいればじゅーぶん”
“守ってくんなくてよかった”
そう言った麻美。
そんな麻美を追いかけることが、俺は幸せで嬉しかった。
例え、報われなくたって。
涙をぼろぼろ流しながら、俺は朱美ちゃんを抱き締めた。
朱美ちゃんは顔を覆いながら、嗚咽を漏らしている。
「ごめん、朱美ちゃん…」
この、数か月。
俺は朱美ちゃんと一緒に過ごして。
心の底から笑えていることに気付いていた。
気付かないフリをしていただけであって。
まだ、俺の右手に残る傷をぐっと握り締める。
そして、朱美ちゃんの手に残る傷を包み込むように手を握り締める。
「……ば、っかじゃねえ…の」