花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「あ~あ、てか、私が余計な事言った所為で哲さん結局他の女んとこいっちゃった」
「…は?」
抱き締めている手を緩めて、郁美ちゃんを見ると彼女はしかめっ面を作る。
「あーいいですいいです、なんかあたし、キューピッドになっちゃったみたいで」
「……意味わからない」
今度は朱美ちゃんが彼女を見つめた。
「え、だって明らか両想いじゃん」
「はあ!?」
「はあ!?」
「はあ??」
同じ様に疑問を返されても、俺と朱美ちゃんは全くわかってない。
ただ、両想い。
その言葉で顔が心なしか火照ってるけど。
「まじでムカつく!!二人とも超鈍感!!!」
イライラしてる侑美ちゃんはそう言い捨てると、話になんないと溜息をついてからその場から去ろうとした。