花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「朱美ちゃん」
「…は?」
「…俺、もう迷わないから」
「………」
「もう、手放したくない」
「……哲、私は」
「……」
「私は死なねえよ」
「………うん」
「もし、私が先に死ぬなら哲も一緒だから」
「…ふふ」
「はあ?何笑ってんの?」
くすくすと笑う俺に訝しげな顔をする朱美ちゃん。
それがまたおかしくて、声を上げて笑った。
バカにされたと思ったのか、朱美ちゃんは頬を膨らます。
「…ごめん、なんかやっぱり花蓮だね」
「…は?」
「だって、頼りになるもん」
「何が」
「なんか、告白ってよりも今のプロポーズじゃなかった?」
「!!!!!」
そう指摘された朱美ちゃんの顔は見る見るうちに紅潮していく。
「ち、ちげーーーし!」
動揺しながらも否定する朱美ちゃん。
それが可愛くて、俺の胸に抱き寄せる。