花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「まあ、麻美は綺麗だったしな。
分かる気するけど…でも、そろそろ現実見ろよ…?」


「……思ってはいるんだけどね」


バツ悪く頬をかく。

どうしようもないことは自分でもわかってる。
だって、この気持ち整理しようがない。



こんなに鮮明に今も好きだと思うんだから。



「店長、電話ですー」


「あ、了解、今行く」



恋滋に電話が入ったらしく、


「わり、また話聞くからな。
休日楽しんで」


そう言いながら手を挙げた。


俺もそれに返すように手を挙げる。





どこかに入ろうかな。
腹も減ったし。



俺はいつも行く、お気に入りの定食屋に入った。

仕事は体が資本だと思ってるから、毎日食事はきちんと摂るようにしてる。

運動も適度にして、鍛えているし。



アパレル店長は、そういったことも気にしなくてはならないのだ。



まあ。
俺の持論だけどね。




運ばれてきた定食に箸をつけていると、隣に誰かが座った。

カウンターだから、然程気にせず俺はご飯を食べていた。




「…哲さんですよね?」
< 19 / 231 >

この作品をシェア

pagetop