花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
報告
その翌日。
俺は拓の家に朱美ちゃんと来ていた。
あれから拓の家に来たのは初めてだ。
拓が電話にも出ないし、メールもシカトするから。
さすがに電話シカトは殴ってやろうかとも思ったけど、悪いのは絶対俺だから我慢した。
インターホンを押すと、早速ご本人が登場した。
「…はい、…!」
開けて、俺の顔を見るなり扉を閉めようとするからすかさず足を入れてそれを阻止した。
「拓、話があるんだよ」
「俺はない」
「お願いだから聞いて」
「聞きたくない」
「麻美のこと」
「あー聞きたくねえ!麻美のことなんて!!」
わかってる、わかってるって。
違うんだよ、拓。
「諦めたんだって!」
「………へ?」
扉を締める手を緩めて、俺を見る。
拍子抜けしたのか、拓は目をまん丸に見開いている。
拓が力任せに扉を閉めてたせいで少し足がじんじんするするけど、我慢した。