花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
俺がそう言った後、先に言葉を発したのは菜々美ちゃんだった。
まだ、拓は放心している。


「あの、朱美さんと、哲さんが、ですか?」


再度、俺たちに尋ねる。
俺と朱美ちゃんは顔を見合わせると、二人で頷いた。



「……ええええええ!!!!!」


菜々美ちゃんは信じられないとでも言うように声を張り上げた。

「ねえ、たっくん。聞いた…?」

それから拓の腕を掴んで揺さぶる。


「…あ、ああ。聞いた…」


まだ、信じられないのか、拓は俺と朱美ちゃんの顔を交互に何度も見る。


「…何、信じられないってわけ?」

二人のその態度に朱美ちゃんがイラっと来たのか、少し低い声で言う。



「いや、信じられないわけ…でもないかなあ?」

「はあ?」


拓がそう言うと、菜々美ちゃんがおろおろしている。
拓の言葉に青筋を立てている朱美ちゃん。
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