花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「………へ」


完璧油断していた俺は、力のない声で返事をする。
隣に座ったのは見覚えのない女の人。



俺は口に入ってるモノを必死に飲み込むと、俯くその人に尋ねた。



「………あの、どこかでお会いしましたか?」



…客の彼女とか?
店員?後輩?


…全然わからない。



しかも、こんなとこで普通声かけるか…?



若干訝しげな顔をしている俺の顔を見つめる。



「……知らない、と思います」


「はあ」



うん、やっぱり知らなかった。
結構俺記憶力いいもんね。


「実は、あの、私。
惚れてしまいまして」


「…え?」


「JUNで働いてますよね?」


「…ああ、はい」



…やっぱりお客さん…?



「たまたま通りかかった時、哲さんの笑顔が目に入って。
それで、あの…」


「…………」


凄い。この子、超積極的。


素直に純粋に感心していた。
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