花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「あ、哲君」
「堤さん、おはようございます」
「おはよ」
「雅紀、残りまたよろしく」
「わかりました、堤さん、また話しましょうね」
「あはは、そうしようか」
そう言ってから、雅紀は裏へと入って行く。
堤さんの方を向くと、堤さんは目尻を下げてニコニコしている。
それに釣られて俺も目尻が下がる。
本当に堤さん、優しさで溢れてるよな。
全体が。
「哲君、これちょっと着てもいい?」
そうやって手渡すのは、昨日入ったばかりのフルレングスのボトム。
全体がブラックなんだけど、さりげないクラッシュがカッコいい。
「はい、もちろん。それ、シルエットめっちゃ綺麗ですよ」
「本当に?」
「後、クラッシュが一つ一つ違うんですよ。
結構、それを選ぶのもオススメです。
ちなみに俺は色違いのグレー買いました」
「はは、哲君、流石だね」
そう笑いながら、俺は堤さんを試着室へと誘導する。
靴を脱いでから、堤さんに商品を渡してカーテンを閉めた。
その間に少しよれてる洋服を畳みに入る。
一枚畳んだぐらいにカーテンが開いた。