花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「そう、彼女と会うんだ」
「え、あの大阪のですか?」
「そうそう」
鏡に映る堤さんの顔はどこか、嬉しそう。
まじで彼女の事大好きなんだなあ。
あ。そうだ。堤さんにも言っておこ。
「堤さん、俺、彼女出来ました」
「ええ!?」
鏡を見ていた堤さんは、俺がそう言うとぐるっと振り向いた。
目をぱちくりとさせて、相当びっくりしてる様子。
それに俺も驚く。
「本当に!?」
「はい、出来たって言っても…昨日ですけど」
「わあー。よかったね、哲君。おめでとう」
目尻を下げて、目を細める堤さんに俺も自然と口角が上がった。
どうして、この人はこうも他人の事で喜べるんだろう。
「あはは、ありがとうございます。あの、彼女です」
「あのって、俺が見た彼女?」
「そうです」
「哲君、やっぱり面食い」
「あはは、そうかもしれないです」
そっかーそっかーと独り事の様に呟きながらも、その顔は嬉しそうだった。
その後ろから。