花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「店長」
「うおっ!?」
突然声がかかった。
ゆっくりと振り向くと、そこにいたのは頬を膨らませて何か不満そうな雅紀だった。
「…雅紀?」
「店長、彼女出来たんですか」
「へ?」
更に眉根を寄せる雅紀。
呆気に取られる俺と堤さん。
「俺には何も報告なかったじゃないですか!」
「…………」
「…………」
「そんな大事な事!俺に報告なかったです!!」
「ちょっと、雅紀、落ち着け」
俺があたふたしながら、雅紀をなだめようとしていると。
「あっははははは」
後ろで堤さんが腹を抱えて大爆笑し始めた。
「俺って信用ないですかあ~」
「いやいや、雅紀、堤さんの前だってば。
つか、堤さんも笑い過ぎですよ」
「あはははは。ごめん、雅紀君、可愛いね、本当に」
堤さんはごめんと手でジェスチャーを作ってはいるが、一向に笑いを止める気配はない。
雅紀は雅紀で不貞腐れている。
そこに最低最悪。
「おっはようございまーす。って、あれ?店長に雅紀に堤さん」