花蓮~麻美が遺した世界~【完結】

こうなるから…嫌だった。
言わなくていい事まで、絶対言うんだ。キムは。
知られても構わないんだけど、構わない。だけど。


「めっちゃ可愛いんですよ、本当に」

「哲君、やっぱりモテるなあ」

「店長なら当然です!」

「雅紀君はいないの?」

「俺はいないです。今のとこ、店長一筋です!」

「あはは、更に哲君モテモテだ」

「雅紀は店長にベタボレだな!でも、振られたな!乙!」

「副店長~~~」


おいおい、俺そっちのけで話すなよ。
三人輪になって、仲良く会話してるし。俺の事で。


「あの、雅紀にキムは仕事やってくれるかね?」

「あ」
「あ」


雅紀とキムが同時にやばって顔をする。
堤さんは相変わらずの笑顔。


「言いふらすなよ、お前ら」

「言いませーん」

「言いません!」

「…キム、言いふらすなよ」

「何で俺だけ!」

「お前は信用ならん!」

「ええ~~~」


キムが口を尖らせているが、俺はそれをシカトする。
まあ、別に知れ渡ってもいいんだけども。
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