花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「そうそう、遠距離やってるとね、わかってるだろってのは通じない。
きちんと言葉に出す事で安心する事もあるんだって思う」

「……」

「彼女にちゃんと、“好き”って伝える事って、恥ずかしいけど大切なんだよね」

「好き、…」

「その顔で甘い台詞吐いたら女の子はメロメロだろうなあ」

「あはは、何言ってるんですか」

「本当に。それじゃ、また来るよ」

「待ってます」

手を振る堤さんに、俺は深々と頭を下げる。
フローリングの床を見ながら、俺は…。


朱美ちゃんに好きって言ってない事に気付いた。


まあ、昨日今日の話だし、これからいくらでも言う機会はある。
だけど、好きだって伝える事は本当に大事だ。

麻美がいなくなった時。

もっと、もっと。

もっと色々伝えたらよかったって。


たくさん思ったのに。


だから、言わないと。
今の俺の気持ち。

もしかしたら、朱美ちゃんを傷付けてしまうかもしれない。

だけど、ちゃんと伝えないと。

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