花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「何、何か珍しいモンでもあった?」
「ない。でも、楽しい」
「あは、何それ」
クスクス笑うと、朱美ちゃんは俺を見てムッとした顔をする。
それを見て、ウっとしながら俺は笑うのを止めた。
「ここが哲の部屋かあ、って思ってさ」
「男の一人暮らしの部屋だよ」
「綺麗だね、まあ、そうかなって思ってたけど」
「それなりにね」
長い一人暮らしだと、一通りの家事は出来る様になるし、それなりに自分の事は出来るからなあ。
まあ、こんな急に朱美ちゃんが来たりするのを考えてはいなかったけど…。
普段から掃除していてよかったと思った。
「エロ本とかないの?」
「ぶっ」
直球過ぎだ。
余りにも恥ずかしげもなく言う朱美ちゃんに、吹き出しながら俺はげらげらと笑った。
「ないよ、あはは」
「何だよ、期待したのに」
「何、期待って」
それに俺はまた腹を抱えて笑った。