花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
拓は公園に到着すると、ベンチに横になってさっきの話を続けた。


「あれから、一度だけ信司がぼやいたんだよね。
佐緒里のこと忘れられないって」


「そんな佐緒里ちゃん好きだったんだ…」


「まあ、黙っておけばきれーだしな、あいつ」


「ふは、生意気」


「いいんだよ、昔からの仲なんだから」


「はは、確かにそうか」



信司が佐緒里ちゃんと別れてから、俺が元花蓮のメンバーで会ったりしてるのは菜々美ちゃんと都ちゃんだけだった。

それも、拓の家か連れ添いで会うぐらい。


個人的に会ったりはしてない。

他のメンバーと連絡先を交換してるわけでもなかったから、音信不通だった。


拓は皆の連絡先知ってたみたいだけど、だからといって聞いたりするわけでもない。


あの、三人といればきっと俺は麻美のこと思い出すから…。


一緒にいたくないのが本音だった。
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