花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「まあ、麻美の母親葬式で初めて見たしな」


「…そうなの?」


「ああ、参観日とかはもちろん入学式も知らねえ。
麻美は一人でいたから」


「………」


「…まあ、麻美が道を反れた気持ちは何となくわかるよ」


「でも、麻美は真っ直ぐだったよな」


「………ああ、馬鹿みたいに、な」


「…人って、呆気ないよな」

俺がぽつりと呟くと、拓も俯きながら答えた。


「…ああ、本当に。
伝説とまで言われるほど強い麻美が、な」


そう。
本当に人って呆気ない。


麻美は余命三カ月と言われて、本当に三か月で死んだんだから。



「でも、花蓮なくなったのは悲しかったな」


「あーでも、暴走族とか少なくなってるしね」


花蓮は菜々美ちゃんが解散させた。

日増しに入る人数は減って行って。
多分、麻美が総長じゃないからじゃない。


暴走族なんて、もう流行らないと思う人が増えたからだろう。


だから、無駄に続けるよりも、華々しく解散させようと。
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