花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「あ、ちょっと携帯鳴ってる」



拓がポケットから携帯を取り出して確認する。



「電話。ごめん出るわ」


「ああ」


寝転がりながら拓は携帯を耳に当てて話し始めた。


「もしもし。
ああ、うん。
……無理なんだけど」


俺は真っ青な空を仰いだ。


その時。

知ってる名前が急に出て、拓の方を見た。



「今、哲といんの。
そう、だから朱美わりぃ」


「朱美ちゃん?」


「…え?あ、いや哲が朱美?って聞くから。
あ?ああ」


頷くと拓が携帯を俺に渡した。


「代われって」


「俺?!」


「そー早くしてー」


「………」


俺は黙ってそれを受け取った。
それから耳に当てて話し始める。



「………もしもし」

「あー哲さん!?」


「…はい、そうですが」


「何で敬語ー!?うけるー!
てかさ、今からそっち行っていいー?」


「えっ!?」


「ってかー駅前いるんだけど、アシなくてさー」
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