花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「あーそんなら俺の後ろ乗る?」


「まじ!?さすが哲さん!拓斗に見習えって言っといてー!
今どこ?」


「西口にある公園」


「りょうかーい!」




それだけ言うと、朱美ちゃんは携帯の持ち主と代わることなく通話を終了させた。

呆気に取られながら、誰とも繋がっていない携帯の画面を見つめる。


「…朱美、なんだって」


「今から来るって」


「……はあ、哲ちゃん、お人よし」


「アシないって可哀想じゃん」


「本当に罪作りな男だよ」


「なんだそれ」


「もーそのまま!朱美来るまで寝るからね!俺!」


「はいはーい。あ、拓お茶でもいる?」


「いる!濃いヤツ」


「あいあいさー!」


そう言ってから立ち上がって、俺は自販機でお茶とコーヒーを購入した。

また、拓がいるベンチまで戻ると俺は拓の腹の上にお茶を乗せる。



「……つめてえ」


「ありがとうは?」


「ありがとう」


「よろしい、じゃあおやすみ」


「うぃ」



数秒後、寝息が聞こえた。
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