花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
俺は、空を見上げて小さく息を一度つくと缶コーヒーに視線を落とした。
それを開けると、一口飲み込む。


……朱美ちゃん、か。

きっと、変わらないのだろう。
それが、また俺を苦しくさせることも。


ほっとけなかったのは事実だ。


そこで俺の携帯が震える。
誰だ、仕事か?


そう思いながら俺は携帯を開く。
届いた一通のメールを開くと、俺は読み進めた。


【初メールです!
連絡先ありがとうございました☆
また、メール送りますね!
無視はやめてください:;
    侑美(いくみって読みます)】


…いくみ。

ああ、あの子か。
本当に積極的。

感心しながら、俺は返事を返すことなく携帯を閉じてポケットに入れた。



また、コーヒーを飲むと遠くで手を振る人が見えた。
と、同時に聞こえる懐かしい声。


「お~い!哲さん!」

…朱美ちゃんだ。

朱美ちゃんは笑顔でこっちに走り寄ってくる。
あまり私服姿を見た事ないから、少し吃驚する。

見たのは、あの麻美の家にいた時以来。


朱美ちゃんも、細いからパンツスタイルがよく似合う。
シンプルなTシャツにジーンズだったけど、様になっていた。
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