花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「…よ、よかったじゃん、一応…?」
朱美ちゃんが苦笑いして言うのを、拓が睨みつける。
「アホ、お前の所為で全て出しただろ!
全部消化したかったのに!」
「なんだ、その理由!」
「あんなんそうそう食べられるモノじゃねーし!」
拓は二次会で食べた物のことを言ってるらしい。
まあ、確かにそうそう食べられるものではないが。
一般家庭で作るには結構手間暇かかるし。
でも、俺からしたら普通のご飯のが魅力的だけど。
「拓斗、ごめんごめん~」
「軽いわ!朱美は!」
「はははは~」
「更に軽い!」
未だ機嫌の治らない拓に、朱美が…切れた。
「…拓斗はねちっこい!しつこい!謝っただろうが!」
「………おお」
さすが、花蓮元幹部。
その剣幕に俺は思わず感嘆の声を漏らす。
拓も大人しくなっていた。
朱美ちゃんは理不尽な切れ方ではあったけども。
腕を組みながら、逆切れしたことをものともせずにふんと鼻息を出す。