花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「あ、哲さん、今日私の家までお願い!」
「もちろん、いいよ」
俺が快く引き受けると、朱美ちゃんはちらっと拓を見て
「…拓斗もこれぐらいの頼み聞かねえとだよな」
と、また拓に突っかかった。
「すんませ~ん」
悪びれることなく、拓は口を尖らせる。
「あんだと!」
朱美ちゃんが今にも拓に食ってかかりそうだったから、俺が慌てて制止した。
「まあまあ、朱美ちゃんも拓もそれまで!
子供じゃないんだから」
「………」
「………」
俺の言葉に黙ったと思ったら、二人はぷっと吹き出した。
急なことに俺は二人を交互に見ながら目を丸くする。
え、何で吹き出すの?
「哲さん、確かにーーー!!!」
「ああ、大人げねえな」
ただ、俺の言葉に同意しただけらしい。
それでそこまで笑える理由がわからないけど。