花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「なんか、哲さん大人になったね」

「何それ」

朱美ちゃんが笑って言う。


「一番浮ついてそうなのに」

「はあ?拓、喧嘩売ってんの?」

「きゃはは、拓斗と哲さんの喧嘩とか見たいし」


緊張感なく朱美ちゃんが言うから、俺と拓も顔を見合わせて笑った。


「ご飯とか行かない?」

朱美ちゃんがそう、提案する。

「いいね、飲みに行くか」

にやっとしながら俺が拓を見ると、拓は

「いいよ、行く」

なんて言うもんだからこっちが慌ててしまう。


「もう、平気なのかよ?」

「平気だよ、さっきの朱美のボディがきいたし」

「まだ言うか」


拓がしれっとそう言うと、朱美が顔をしかめながらそう言った。

それから、三人で笑った。


まさか。

こんな風にまた元花蓮の子と話するだなんて思ってなかったよ。
だから、今日のこの日が大事に思えたんだ。
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