花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「ああ、麻美って一匹狼って感じで誰とも目すら合わせようとしなかったし。
俺が話しかけなきゃ哲ちゃん、会う事すらなかっただろうな」
「拓には感謝してるよ」
「だけど、よく拓斗も紹介したよな」
「は?」
「え?」
俺と、拓の声がかぶって出た。
だけど、そんな俺達を無視して朱美ちゃんが店員を呼びとめる。
いくつか注文すると、メニューを閉じて元の場所へと戻した。
その時、丁度飲み物が運ばれてきて朱美ちゃんが注文した生ビールのジョッキを手に取る。
「乾杯しようぜ、乾杯」
弾んだ声を出す、朱美ちゃん。
「お、おい。その前に何だよ、さっきの!」
拓、よく突っ込んだ。
俺も思った。
「え?何の事?」
すっとボケる朱美ちゃんに拓がはああ!?とでかい声を出す。
だけども朱美ちゃんは全く気にしてないご様子。
「まー先に乾杯しようよ、喉渇いた!」
「…そうだね、拓。乾杯しよう」
「……ああ」
「かんぱーい!」