花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
カチンと、ジョッキを合わせると朱美ちゃんは勢いよくビールを流し込む。
一気に半分までなくなったのを見て、俺は目を点にした。

「す、凄いね、朱美ちゃん」

「え?あ、そう?」

「そんなこといいから話せよ、さっきの。朱美」

気になっているのか、拓はビールを軽く一口つけただけでほとんど飲んでいない。


「ああ、えーっと。てかさ、哲さん知ってんの?」

「何が?」

「拓斗が麻美を好きだったってこと」

「………………えええええええええ!!!!!!」


少しの間を置いて、俺は相当でかい声を出した。
かなりそれほど、びっくりした。


…拓が、麻美を好きだった?


拓は顔を手で覆っている。
隠していたのに、ばらされたからだろう。

俺が放心してるのを見て、朱美ちゃんは笑いながら続けた。
< 42 / 231 >

この作品をシェア

pagetop