花蓮~麻美が遺した世界~【完結】

「中学で一目惚れだろ?
まじでチキンだよな、拓斗」

「うるせえ!てか、朱美!どこまで知ってんだよ!?」

「はあ!?お前が全部自分で話したんだろうが!」

「し、知らねえ!知らねえよ、それ!」

「お前、酔っ払ってたもん、知るわけない」

「ああああああ………」

また、顔を手で覆って黙る拓。

朱美ちゃんは終始楽しそうにその姿を見ている。


「…拓、まじなの?」

さっきの会話を聞く限りでは、間違いなさそうだったけど。
だけど、俺は拓の口から聞きたかった。

ぴくっと、反応した拓は。
暫くして、手を顔から下ろした。


そして、俺を真っ直ぐに見る。


「…好きだった」

その拓の真っ直ぐな言葉が胸に突き刺さった。
だけど、何も言わずじっと拓の言葉に耳を傾ける。


「俺、好きだったよ。
でも、哲ちゃんならよかったんだ」


拓は一度目を伏せると、俺を再度見る。
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