花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「ま、麻美を忘れる事なんてしなくてもいいんじゃん?
てか、私も忘れる事なんて出来ないし」

朱美ちゃんが運ばれてきたポテトを頬張りながら言った。


「そーそー。哲ちゃん、深く考えすぎ」

「んな事ないし」

「哲さんってーたらしだったんでしょ?」

「へ」

急に朱美ちゃんがそんな事言うから、ビール思わず吹き出しそうになったわ。

「違うの?」

「…いや、違うとも言いきれないような」

麻美と会うまでの俺は、誰でもよかったし。
どの女の子も恋愛対象だったし。

だから、完全に否定も出来ない。


「なのに、麻美に一途になれたんだからー他の子にもなれるでしょ」

「………」

「朱美、それ、間違いない」

拓はそう言って笑いながら、ポテトを摘まむ。
それに俺は眉を顰めて、口角を下げる。


「なれてたら、ここまで想ってないって」

本当に、そう思う。
どうしてここまで想ってしまうのかって。
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