花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「気持ちなんてものは、わからないからね。
急にいい人現れるかもよ」

「そうだといいけど」

「哲ちゃん、暗いー。いつもうざいぐらいポジティブなのに」

「うざいぐらいは余計だ、拓」

「麻美の話はおしまい。久しぶりだし、近況報告しよーぜ」

「何だそれ」

突っ込む拓の話なんか、聞く耳持たず、朱美ちゃんは話し出す。
それに俺は拓を同情の目で見つめた。


「じゃー私からね、最近ねー働いた会社の上司がさー。
セクハラしてきて、ぶん殴ってやってー。
で、退職させられた。おしまい。
で、次は拓斗」

「いや、おい。俺の前にお前の話突っ込みどころ満載だわ」

「どこが」

「いや、セクハラで、殴ったって」

朱美ちゃんは目を真ん丸にした後、けらけらと笑っている。
はあ、朱美ちゃんって本当に凄い。
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