花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「だって、黙ってる事出来ねえじゃん。
私に喧嘩売るなんざ、百年はええ」

「いや、それでも、上司でしょ」

「まー…私がされる前にも、結構そいつ色々な子にしてたみたいでさ」

「朱美ちゃん、その子達救ったんだね」

「……そーいうこと……」

朱美ちゃんは俺に褒められて、少し顔を俯かせると照れたのか、不貞腐れたように言った。
褒められる事に慣れていないのかもしれない。


俺はそれにふふっと笑みが零れる。


「私の話はもう終わってんだって。
拓斗はないのかよ、拓斗は」

「俺?ねーよ。別に菜々美ともうまくいってるし。
仕事も特に変わった事ないし」

「かーつまんねえな。じゃあ、哲さんは?」


隣で拓がうるさく何か言っているが、朱美ちゃんは全く気にしない。
もう、慣れたわ。このやり取り。
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