花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「普通は整理つけて他いってるから。だけど、哲さんはそれ出来ないんでしょ。
たらしだった時も、一人に本気になれないから皆に同じ態度取ってたって事。
…まあ、きっと哲さんが優しいって事だよね。
っつうよりも、お人好し?」
「それ、褒めてる?」
「ははっ、褒めてるよ。私はそんな不器用な人間の方が好きだよ。
麻美もそうだった」
「………」
朱美ちゃん、やめてくれよ。
麻美と同じだなんて。
ぎゅうっと朱美ちゃんから見えない様に洋服の裾を握る。
「麻美は不器用だったんだよ。何にも一生懸命で、自分の信じたものは心底大事にしていた。
知ってんだろ、麻美が一つのモノしか大事に出来なかったって事」
「…うん」
「私にはあそこまで花蓮を想えるかって問われたらわからないって言うよ。
自分の命もきっと、麻美は簡単に投げ出しただろうね」
「…………」
俺は握った洋服を更に強く握る。
しわくちゃになってるけど…胸が苦しくてどうしようもない。
どうして…。
こんなにも麻美の周りの心の中に住みついているのに…。
どうして…麻美がいないんだよ。
たらしだった時も、一人に本気になれないから皆に同じ態度取ってたって事。
…まあ、きっと哲さんが優しいって事だよね。
っつうよりも、お人好し?」
「それ、褒めてる?」
「ははっ、褒めてるよ。私はそんな不器用な人間の方が好きだよ。
麻美もそうだった」
「………」
朱美ちゃん、やめてくれよ。
麻美と同じだなんて。
ぎゅうっと朱美ちゃんから見えない様に洋服の裾を握る。
「麻美は不器用だったんだよ。何にも一生懸命で、自分の信じたものは心底大事にしていた。
知ってんだろ、麻美が一つのモノしか大事に出来なかったって事」
「…うん」
「私にはあそこまで花蓮を想えるかって問われたらわからないって言うよ。
自分の命もきっと、麻美は簡単に投げ出しただろうね」
「…………」
俺は握った洋服を更に強く握る。
しわくちゃになってるけど…胸が苦しくてどうしようもない。
どうして…。
こんなにも麻美の周りの心の中に住みついているのに…。
どうして…麻美がいないんだよ。