花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「堤さん、さすが、もうそのTシャツ着てるんですねえ」

「はは、わかる?着たくてどうしようもなくて少し寒いけど着ちゃったよ」

「ちょー似合ってます」

「哲君に言われると嬉しいな」

「俺、堤さんに小物テク教えてもらいたいですからね」

「俺の方が哲君に聞きたいけどね」

「またまた~」

「ははは」


やっぱり堤さん、好きだ。
嫌味でない言い回しとか、さりげないとこが大人で。
俺、本当に堤さんみたくなりたい。

こんだけ、爽やかだと女放っておかないんだろうな。



「そういえば、哲君って彼女の話とか聞かないよね」

「え!?」


急な言葉にTシャツを畳んでいた手が止まる。


「いや、智君は今お惚気満載だからねえ。雅紀君はロンリーみたいだし。
まさか、哲君がいないなんてと思って」

「そのまさかですよ、堤さん」

「え、いないの?」

「実は~」

「信じられない!」

「ですよねえ…」


堤さんは相当驚いたのか、目を真ん丸にしている。
堤さんのこんな顔、見た事ないぞ。
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