花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「嘘じゃないよね。それか別れたばかり?」

「別れたばかりでもないし、嘘でもないです」

「……哲君、俺と顔交換してよ」

「はは、なんですか、それ。堤さんだってかなり男前ですよ」

「俺が哲君になったら、色々な女で遊ぶんだけどなあ」

「刺されますよ、まじで」

「そんな経験あるの?」

「いや、今のとこないです」

「何、今のとこって…あるの、心当たり」

「はははっ、ないです」


堤さんの真剣な顔が面白くて、俺は大声で笑った。
堤さんは至って真面目だったらしいけど。


麻美に会わなければ、俺。
まじで刺されてたかもな。


「そうかー哲君、フリーかあ」

「堤さんはいるんですか?」

「…まあ、いるよ。一応」

「何ですか、その一応って」

「うーん、遠距離だしね」

「え、どこですか」

「大阪」


ここからだと、新幹線で三時間とか。
夜行バスとかならもっと安いのか。
でも、会いたいと言ってすぐに会える距離じゃない事は確か。

すげえな。
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