花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「明日、店長と飲み行きましょうよー」

「雅紀と?えー俺、店長と行くから雅紀却下」


だなんて、キムに軽くからかわれて俺は思わず吹き出した。
泣きそうな雅紀の顔が目に浮かぶ。


案の定、雅紀はしゅんとした顔で俺の前にやって来る。


「…副店長、俺ダメみたいです」


だなんて言うもんだから、俺は大声で笑った。


「キムーーーあんまいじめんな」

「すみませーーーん」


キムに聞こえるようにでかい声で言うと、キムもそれに返す。
その後、聞こえるキムの爆笑。


雅紀だけがわけがわかってない。


なんて、純粋なんだ。


「大丈夫、雅紀。明日行こうな」

「……てんちょおおおお」

「うわ、抱き着くな」

「店長、いい匂いがするーー」

「………」


しがみつく雅紀は、女の子みたいな事を口走る。
いい匂いって…。


「俺、元気出ました!!お疲れ様ですっ」


暫く雅紀は俺にしがみついた。
それから、離れると満面の笑みでそう言いながら去って行った。
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