花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
それから、侑美ちゃんはコロコロ笑ってはたくさん話をしていた。
俺もそれに相槌を打ったり、頷いたり。

一歩、俺の心の中に足を踏み入れようとしなければ。

仲良くする事は問題ない。
別に話してるのは楽しいから。

だから、麻美の事は思い出させないで。



「今日はありがとうございました。
てか、よかったのに…ご馳走になっちゃって。
すみません」


居酒屋を出て、俺は侑美ちゃんを送る為原付を押しながら並んで歩いた。
家に到着した時、侑美ちゃんが深々とお辞儀をしながらそう言った。


「別にいいよ。女の子に出させたくないし」


笑顔でそう言うと、侑美ちゃんは

「やっぱり哲さん、優しいです」

なんて笑うから俺は頭を掻いた。


別にそんなつもりじゃなかったんだけど。
俺の気持ち的にってだけであって。


「ふふっ、哲さん。話してみたら…もっと好きになっちゃいました!」

「え」


少し照れ臭そうにしている俺に、侑美ちゃんはそう言う。
あっけに取られていると、侑美ちゃんは「またメールします」とだけ告げてマンションへと走って行った。
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