花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
なんだか。
パワフルな子。


再度、頭を掻くと俺は原付に跨った。
発進させようとした時、左側のハンドルをぎゅっと誰かに握られる。


それにびっくりして、振り向くと。

そこにいたのは―――――……


「久しぶり」


………佐緒里ちゃんだった。


「……え?」


変わらないけど、やっぱりどこか綺麗になった佐緒里ちゃん。
何年ぶりだろうか。
あの、麻美の家で会った以来ではなかったけど。

信司と一緒にいるのは何度か見たし、話したりもした。
だけど、信司と別れてからは会ってない。

そうなると、五年とか?


「佐緒里ちゃん、久しぶりすぎるじゃん」

「……哲さん」


突然過ぎたけど、思ってもない相手に俺の声は弾む。
だけど、佐緒里ちゃんはずっと厳しい顔をしたままだ。


「何で」

「え?」


そう、低く声を出した佐緒里ちゃんの言ってる意味がわからなかった。


「何で………」


佐緒里ちゃんは俯かせた顔を上げて俺を見ると、一層顔を厳しくした。


「光といんだよ?」

「………え?」


佐緒里ちゃんは低く、だけど強くそう言葉を発した。



ひ、かり?って…?
< 73 / 231 >

この作品をシェア

pagetop