花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「よく、意味が…」


俺がそう途切れ途切れに言葉を零すと、佐緒里ちゃんは

「あの女、元光の幹部だ」

そう言った。


……光、幹部?
は?
誰が?
侑美ちゃん?


「侑美、あいつは光幹部で、麻美ともよく敵対していた」

「………ま、じで」

「それに」


佐緒里ちゃんはハンドルから手を離して、俺の手を取る。
そこにあったのは。


「……この傷」


俺が麻美を守れた日の…傷。


「これが出来た時……その場に侑美はいたんだ」

「え?」


更に俺の思考が絡まる。
気付けば、俺はその傷痕を見つめていた。


佐緒里ちゃんは顔を俯かせると、独り事のように言った。



「………別に…もう、麻美は死んでる。いない。
だから、気にする事じゃないのかもしれない。
だけど、私は嫌だ」

「佐緒里ちゃん…」


ああ。
どうしてだろう。

どうして、花蓮の仲間はここまで麻美を想えるのだろうか。


麻美を想う佐緒里ちゃんに胸が苦しくなる。
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