花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「お疲れ」
「うん」
「座れば」
そう促され、俺は信司のすぐ横に座る。
ガラスのテーブルにはタバコが山盛りの灰皿。
その横には車や、バイクの雑誌。
至るとこに女からのプレゼントか、ぬいぐるみや、キャラモノが置いてある。
壁には直接写真が何枚か。
総神の集合写真から、女の子との2ショットとか。
そこに佐緒里ちゃんはいない。
「いきなり、珍しいな。哲」
バイク雑誌を見ながら信司がそう俺に声をかけた。
「…うん」
「どーしたよ。なんか相談?」
「そう、かな」
「ふ~ん、で。何?」
「………佐緒里ちゃんの事」
俺がそうぼそっと呟くと、信司の動きが止まった。
そして、雑誌を見るのを止めて俺を見た。
「…佐緒里が何」
信司の目つきは酷く鋭い。
だけど、そんな信司から視線を逸らす事はない。