花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「もうすぐ…この街を出るんだって」
「で?」
「…信司、まだ佐緒里ちゃんの事好きなんでしょ?」
「好きじゃねえ」
「嘘。拓から聞いた」
こないだ拓から聞いた話をすると、信司は小さく舌打ちをして愚痴を零す。
「もう関係ねえ」
「二人に何があったの」
「何もねえよ」
信司は体を起して、髪の毛をぐしゃっとする。
顔は俯かせたままで。
「ならさ、最後に会うだけでもいいじゃん」
「必要ねえ」
「どーして」
「うっせえな!」
信司は怒鳴りながら、キッと俺を睨みつける。
この睨みに皆は怖がるのかもしれないけど…幼馴染には通用しない。
「逃げるの」
「はあ?」
「佐緒里ちゃんもきっと信司の事好きだって」
「何勝手な事ほざいてんの」
「わかるんだって」
「関係ねえって言ってんだろ!!」
しつこく食いつく俺にイライラが頂点に達したのか、俺の胸倉を掴むと信司は言い放った。
胸倉を掴まれたまま、無言で見つめ合う俺と信司。
テレビから聞こえてくる、タレント達の笑い声。
それが不自然な程に響く。
「で?」
「…信司、まだ佐緒里ちゃんの事好きなんでしょ?」
「好きじゃねえ」
「嘘。拓から聞いた」
こないだ拓から聞いた話をすると、信司は小さく舌打ちをして愚痴を零す。
「もう関係ねえ」
「二人に何があったの」
「何もねえよ」
信司は体を起して、髪の毛をぐしゃっとする。
顔は俯かせたままで。
「ならさ、最後に会うだけでもいいじゃん」
「必要ねえ」
「どーして」
「うっせえな!」
信司は怒鳴りながら、キッと俺を睨みつける。
この睨みに皆は怖がるのかもしれないけど…幼馴染には通用しない。
「逃げるの」
「はあ?」
「佐緒里ちゃんもきっと信司の事好きだって」
「何勝手な事ほざいてんの」
「わかるんだって」
「関係ねえって言ってんだろ!!」
しつこく食いつく俺にイライラが頂点に達したのか、俺の胸倉を掴むと信司は言い放った。
胸倉を掴まれたまま、無言で見つめ合う俺と信司。
テレビから聞こえてくる、タレント達の笑い声。
それが不自然な程に響く。