花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「どこが情けないんだって。
じゃあ、会って伝えて来いって」
「……だよな」
「うん」
「うしっ!」
一度、自分の顔をパシンと叩くと立ち上がる。
その姿を目で追っていると、
「俺、今から行ってくるわ」
だなんて吃驚する事を信司は言った。
「え、い、今?」
「明日なんて待てねえ。今から行くわ」
「はあっ!?寝てるんじゃないかな!?」
「んなわけあるかよ。まだ一時だろ?」
まだ一時って。
いや、十分寝てると思うんだけど。
違うの?
俺の考え間違ってないよね?
「哲も行くだろ?」
「………うん」
有無を言わさない信司に、俺はコクコクと頷く。
その後、俺の返事に満足したのか、信司はニカっと笑った。
迷いが吹っ切れた信司を見て、まいっか。と思ってしまう俺はほとほと信司が好きだと思う。